2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

[II]神働術(qeouggiva)②

さて、ここに紹介したような神働術に関して、その詳細と理論的正当化の試みにわれわれが出会うのは、イアンブリコスの『エジプト人の秘儀について』(De mysteriis)においてである。この書名は、1489年頃ラテン語へのパラフレーズを試みたフィチーノが同書…

[II]神働術(qeouggiva)①

[II]神働術(qeouggiva) 「神働術者」(qeourgovV)とは、ユリアノス父子の造語であり、『カルデア神託』の残存断片においては、た だ一度だけ断片153に現れている。 『神働術者たちは、運命に服する大衆の下に落ち込むことはない』(Fr.153) 神学者(qw…

[I]カルデア神学における諸階層②

(B1) イウンクス 「イウンクス」(i[ugx)、複数形で「イウンゲス」はもともと「アリスイ」(wryneck)と呼ばれる地中海地方の鳥を意味していた。あるいは、魔術師が不実な恋人の気を引くために用いる、この鳥が結びつけられた車輪を指す語であったという[14…

[I]カルデア神学における諸階層①

[I]カルデア神学における諸階層(A)父 — 『カルデア神託』の存在階層で頂点を冠するものは、「父」(pathvr, Frr.3; 7;14; 25;81;87;107;115; et al.[8])「父的知性」(patriko;V nou:V, Frr.39;49;108;109)、「神」(第一の知性」(nou:V prw:toV, Frr.7)…

『カルデア神託』と神働術

近年、本邦でも古代ギリシア哲学研究は、プラトン、アリストテレスに集中していた時期を後にし、その研究成果を踏まえて古代末期の新プラトン主義にも関心を向けるようになってきた。しかし、プロクロス研究に資する貴重な一書を別とすれば[1]、古代ギリシア…

カルデア人の神託(Chaldaean Oracles)

カルデア人の神託(Chaldaean Oracles) これが伝統的に帰せられているのは、カルデア人ユリアノスという人(トラヤヌス帝の時代〔在位98-117〕に盛時を迎えたといわれる)か、その息子の降神術師ユリアノス(マルクス・アウレリウス帝の時代〔在位161-180〕…